障がいや福祉のイメージを変えたい!個々の感性や可能性をヴィジュアルに表現
意外な才能への気づき、発見も
山に囲まれ、周囲には田んぼが広がる緑と文化の町“竜王町”。町の中でも小高い場所に位置する創作ヴィレッジこるり村では、入所者が織物、陶芸、絵画、農業などさまざまな活動に取り組んでいます。
「これまでさまざまな創作活動に取り組んできましたが、施設で展覧会をするなど、地元の方に知ってもらうことが中心でした。ここで生まれる作品は本当に素晴らしいものばかりなので、もっと多くの人に知ってもらいたいと思っていましたが、壁にぶちあたることもあったんです。そんなとき“ご当地フォント”の取り組みを知り、良いきっかけだと思い参加することにしました」
以前から面白い文字を描く人はいたそうですが、特に知らない文字を描くときは模写をするように描くので絵のようになり独特の良さが生まれます。“知らない才能”というのはすごいなと職員の方々は感心していたのだそう。
「障がいのある方のアートへの取り組みを進める上で一番難しいのは、みなさんの持っている才能をいかにして引き出すかということです。どのようにサポートすればいいのか悩みも大きいのですが、一方で意外な才能を発見することもあります。織り物好きだと思い込んでいた方が、良い文字を描いてくれて、その方にとってはもちろん我々にとっても新たな気づきになりやりがいにもつながりました」
ご当地フォントで物づくりを盛り上げ、村づくりへと繋ぐ
“ご当地フォント”の元になる文字や絵を描いてもらうにあたっては、滋賀の象徴である“琵琶湖”や、近江牛を育てている牛舎が施設の近所にあることから“牛”、そして何と言っても豊富な“自然”からイメージしてもらったのだそうです。
「“ご当地フォント”は、ワークショップ形式でみんなで取り組みました。アーティストやデザイナーの方が加わるとライブのような空気感になって、より良い効果が生み出されたように思います。スランプに陥って、しばらく絵を描いていない方がいたんですが、今回初めて綿棒を使って、トントンと紙に打ち付けるような点描の手法で琵琶湖の絵を描いてくれました。これをきっかけに綿棒での技法を身に着けたようで、才能がぶわっと開花した瞬間でした。誰と出会うか、何に出会うかによって大きく人生は変わります。ご当地フォントに出会い取り組むことにして本当に良かったと思いました」
実はパターン完成を目前にして、残念ながら亡くなってしまった方がいます。しかし、その方のアートはこれからさまざまな人が目にし、さまざまに形を変えて命を繋いでいくことでしょう。
「自分の描いた字や絵がこれからどのように展開していくのか、正直よく分かっていない方もいます。しかし、亡くなった方の作品はこれからも生きて残り、意志が引き継がれていく。そういう意味でも“ご当地フォント”は大きな意味を持つと思います。創作ヴィレッジこるり村の夢は、物づくりで村づくりをすること。これをきっかけにこのスペース全体として盛り上げていきたいですね」
こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン
ストーリーづくりを
ご一緒しましょう
「ご当地フォントサイトにデータを登録したい!」「デザイナーを紹介してほしい!」「アートワーク(フォント・パターン)を活用したイベントを企画提案してほしい」など、さまざまなお手伝い、連携を進めております。ぜひお声がけください。