ご相談はこちら

EN

広島発のピースフォントで世界に平和を届けたい

2022/09/24 ピースフォント(広島県広島市)
2022/09/24 ピースフォント(広島県広島市)

コミュニティリーダーひゅーるぽん/コミュニティほっとスペースぽんぽん 広島県広島市安佐南区川内6丁目28-14

世界に平和をという願いを込めたピースフォント

得意なハンコアートを生かしてフォントづくりに熱中

瀬戸内海に面した広島県には大小140もの島があり、一年を通して降水量が少なく、冬でも比較的温暖なため、日本のギリシャなどと言われることも。その一方で、原爆を投下されたという悲しい歴史を持つことで世界にその名を知られています。そんな広島県のご当地フォントの名前は「ピースフォント」。

「広島という土地柄、ヒロシマフォントとしてしまうと、『1945.8.6』を想起させてしまうし違う意味を持ってしまいます。このフォントのコンセプトは、まずは作者である障がいのある人たちが笑顔であること。子供であれ、老人であれ、障がい者であれ社会的弱者と言われる方々の笑顔こそが平和のバロメーターだと考えたからです。その笑顔をこのフォントやパターンが生み出してくれることを願ってピースフォントと名付けました」

そう語ってくれたのはピースフォントのデザインを担当した広島市立大学芸術学部デザイン工芸学科視覚造形分野の納島正弘教授。今回、ピースフォントを作るに当たって、留意したのは素材を生かすということだそう。

「料理人が素材の持ち味を生かして料理をするように、いい素材を見つけて、それをできる限り素材のまま社会に出したいと考えました。主役はあくまでも素材、つまり施設の方々が描いた絵や文字。私達は、裏方、黒子に徹する。それがピースフォントのやり方です」(納島教授)

日々の生活の中から生まれた日常に寄り添うフォント

施設で障がいのある方々が絵や文字を描く際にサポートしたスタッフの一人、副島沙奈さんは、納島教授の教え子でもあるため、制作現場とデザイン現場の風通しがよく一丸となってフォントやパターンの制作に取り組めたといいます。

「障がいのある人たちって、自分の作品が売れてお金が入ることには興味がない人が多いんですね。でも、ペンを持って紙に向き合って手を動かしている間はすごく集中していて、穏やかになっているのを感じます。そうした時間はとても重要だと改めて感じました」

と、副島さんは制作中の様子を振り返ります。売れるためといった、商業的な意図を持って制作するのではなく、彼等の内側から湧き出てくるものを引き出すため「こういうものを描いて欲しい」といった依頼は一切しなかったのだそう。その代わり、ハンコアートが得意な人がハンコでフォントを作る際、制作しやすいように、消しゴムで作ったハンコに木で持ち手をつけてあげるなど、あくまでも黒子としてのサポートをこころがけました。

そのおかげで、ハンコの陰影が独特な魅力的なフォントが誕生したのです。

フォント制作のために手作りしたスタンプ

「施設で日々生まれる作品は、そのままではアート作品や、商品にはならないものの方が多いんです。ただ、本人たちが気持ちを込めて描いたもの、日々の暮らしの中で生まれた、生活に密着したものには独特の魅力があります。ピースフォントを通して、障がいのある人はできないからサポートしてあげようじゃなく、こうしたいろんなものを生み出せる力を持っているということを知っていただけたらいいなと思っています」

と語るのは同施設で20年以上、障害のある方の制作現場のサポートをしている鰐川華衣さん。笑顔で作られた広島発のピースフォントが世界中で使われ、世界を平和にしてくれることが期待されます。

こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン

ストーリーづくりを
ご一緒しましょう

「ご当地フォントサイトにデータを登録したい!」「デザイナーを紹介してほしい!」「アートワーク(フォント・パターン)を活用したイベントを企画提案してほしい」など、さまざまなお手伝い、連携を進めております。ぜひお声がけください。