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江戸川区独自の草の根ネットワークで 地域共生社会づくりに一石を投じたい

2022/09/21 エドてらす(東京都江戸川区)
2022/09/21 エドてらす(東京都江戸川区)

エドてらす 東京都江戸川区小松川2-9-2 社会福祉法人ひらいルミナル
地域活動支援センターこまつがわ 地域共生社会づくり活動アート部門 内

障がいのある人を社会的弱者ではなく、 かっこいいアーティストに

江戸川区内の障がいのある人たちのアート活動を支援し、社会参加と地域共生社会の実現を目指して設立されたのが“エドてらす”です。東京2020大会の開催に合わせて江戸川区では応援グッズを作ろうという動きがあり、準備を進めていたところ、コロナ禍による延期などが原因で計画は頓挫。そこに飛び込んできたのがご当地フォントの取り組みでした。

江戸川区に関係の深い“金魚”をモチーフに、作品作りに取り組むみなさん。“金魚だから赤”じゃなくてもいい。色も形も自由に

「エドてらすは、区内の事業所だけではなく、個人、障がいのあるお子さんを持つご家族、みんなを集めて仲間になり“地域を作る”ことを目的とした有志の団体です。ご当地フォントは、その理念とぴったりマッチしていると思い、参画を決めました。ただ作品を展示するといったこととは違う形で社会参加できることが魅力でした」

障がいのある方の言動はときに問題行動とされ、迷惑や面倒だと思われがち。しかし、アートを切り口にすれば“面白い”という高評価につながります。かつて、昔の作業所で売られていた商品のマーケティングのように、彼らを障がいのある人という社会的弱者のラベリングに留めるか、“かっこいいアーティスト”にするかは、自分たちソーシャルワーカーのマネージメント次第だという自負が、エドてらすの方々にはありました。

「こういうことをやりますという告知を始めたのと、コロナの感染拡大と学校の夏休みがちょうど重なってしまいました。応募可能な方を、江戸川区全体の障がいを持つ方々と大きく広げたので、自分たちが出向いて説明するほか、描き方を説明したYouTube動画を作ったり、描く紙は事務局で準備した方がいいと急遽印刷会社に注文したり、とにかくバタバタでしたね」

活動の外への広がりの中で、意外な一面を見せてくれた方も

江戸川区のご当地フォント“エドフォント”のモチーフになったのは、明治時代に地元で養殖が始まった金魚、区の花である桜、そして後ろではなく前に進む性質のあるトンボ。みなさんはこれらのモチーフにどのように取り組んでいったのでしょうか。

「事業所のアートプログラムで見せる、気心の知れた仲間同士のおしゃべりでは、下品な失言ばかりしていたプレイボーイ風な方が、ご当地フォントに取り組んでいるときは、紳士的に場を和ませたり、デザイナーさんに自分の作りたいイメージを相談したり、すごく真剣になっていました。活動が外に広がり外と繋がったからこそ、こういう一面があると気づかされたのは良かったなと思います」

作品作りのため、ワークショップを開催

結果集まったフォントや絵は何と650点。事業所をあげて、“来所者全員で描こう!”というかけ声のもと、しばらくペンを持っていなかった方が久しぶりに取り組んでくれたこともあったのだとか。スタッフも楽しいひとときだったそうです。

「〆切ギリギリに学校が夏休みなのでと、事業所までわざわざお母様と共に届けてくれた男子中学生がいました。せっかくなので施設をご案内したら興味を持っていただいたようです。他にも“親の目には蚊にしか見えない”と言っていたお子さんのトンボの作品が選ばれて、大喜びの親御さんがいたり、ずっと引きこもりで家を出られなかった方が、郵送ではなくどうしても自分の手で持ってきたいと訪れてくれたのには、本当に驚かされました」

自分が手がけた作品が広く知られ、障がいのある人に対する啓発を担えることは、作者本人の自尊心の底上げはもちろん、携わるスタッフのやりがいも繋がっているようです。集まった650点の作品のお披露目会も計画中とのことで、今後の広がりに期待が高まります。

こちらのストーリーで生まれたフォント・パターン

ストーリーづくりを
ご一緒しましょう

「ご当地フォントサイトにデータを登録したい!」「デザイナーを紹介してほしい!」「アートワーク(フォント・パターン)を活用したイベントを企画提案してほしい」など、さまざまなお手伝い、連携を進めております。ぜひお声がけください。